アラビア書道に使われる道具

アラビア書道に使う道具を紹介します。

ペン

文字の大きさによって数種類の太さの筆を使い分けます。筆は通常市販されていないため、書家が自分で竹や葦(アシ)を削って作ります。

サイズの大きな筆(15ミリ以上)では木を削ってペン先にし、竹軸に差し込んで使います。(右:様々な大きさをもった筆『Letters in Gold』(The Metropolitan Museum of Art発行)

墨汁

従来は石油ランプに溜まった煤(スス)を集め、アラビアガムなどを混ぜて粘りを出したものを薄めて使用してきました。

現在でも自作する書道家もいますが、ほとんどは墨汁やレタリングゾルを使用しています。また中東では茶色、青、緑などのカラーインクを販売しているところもあります。

日本でも、カラーインクなどで代替可能です。

 

(写真はダイソーで販売している書道液。手軽で使用しやすく、中東の書道家もよく利用している)

 

墨壷
墨壷

墨壺

筆に付く墨汁の量を調整するために使用。

瓶のなかに、一度水を浸けたあとよく絞った絹糸、海綿やスポンジ(通常のスポンジでは泡が出るので、メラミンフォーム系のスポンジが適当)などを入れた後、墨汁を瓶の1/3程度浸るくらい入れます。

 

(写真は日本アラビア書道協会のロゴが入った特製墨壺)

中東諸国では、書家が使いたい紙を持ち込めば書道に使用できるように紙の表面を加工してくれる職人がいます。彼らは紙の表面に、卵白に塩を混ぜて薄めた液を塗り、乾かした後、瑪瑙(めのう)などのような固い石で擦って表面をツルツルに仕上げてくれます。

日本では、カレンダーやチラシなどによく使用されている、紙表面がツルツルしたアート紙やコート紙が手に入りやすいので代用します。

 

アート紙やコート紙は文房具店や画材店で置いているところは少なく、紙専門店での購入をお勧めします。

 

また、少し厚手のケント紙や上質紙にグロスポリマーメディウム(画材屋で販売。主に油絵の具などに混ぜてツヤを出すため使用)を薄めて数回塗布した後、表面を固い石なので擦ってすべすべにしたものも使えます。

 

その他に使用する道具

○ ナイフ:筆先に墨汁が溜まってこびり付いたのを落としたり、筆先の幅を調整するために使います。また、紙に書いた文字を修正する為にも使用します。

  

○ マクタ(maqta):筆の先を調整するための小さな薄い板(上の写真の左端を参照)。

  

○ 下敷き:竹筆は筆先は固いため、紙の下に少し弾力性のある下敷きを敷くと書きやすくなります。デスクパッド、薄手のゴムなどを使います。中東の書家は動物の皮を使っていることが多いです。

 

○ スポイト:墨汁はしばしば乾燥により、濃くなりすぎる為、時々水を差す為、使います。

 

○ ヤスリ:筆を使っていると次第に筆先がすり減ってシャープな線が書けなくなります。その場合、細かい目のヤスリ(#1000程度)を使って研ぎます。