現在、日本人にとってアラブのイメージは石油、アラビアンナイト、そしてパレスチナ問題といった限られた視点に制約されています。さらに、アラブに関する情報は、欧米諸国の考え方や情報をフィルターにかけ、あまり深く考えずに受け入れられることが多いかもしれません。

実際には、アラブの歴史は古く、文化も多様性に富んでいます。中世にはアラブの高い文化がヨーロッパにも伝わり、ヨーロッパ文化に大きな影響を与えました。

残念ながら、現在のアラブ諸国は一部の石油産出国を除いて、経済的にも文化的にも低迷しているように見え、新しい文化の息吹があまり伝わってこない状況です。実際には輝かしい文化は失われておらず、継承されています。アラビア書道もその一つです。

欧米や日本にも手書きのカリグラフィー文化がありますが、アラビア書道は欧米のカリグラフィーと日本の書道の中間的な位置にあると言えるでしょう。一字一字を丁寧に書くために心を整え、滑らかな線を描く一方で、文字を丸や楕円、動物の姿に組み込んだり、左右対称に配置したり、華やかな装飾を施すことも求められます。アラビア書道は、日本書道の"道"と"アート"の両方の要素を融合させた優れた芸術と言えるのです。

日本アラビア書道協会は、多くの人々にアラビア書道を楽しんでもらいながら、アラビア文化に興味を持ち、アラブを理解してもらうことを目指して設立されました。協会は、アラビア書道に関連するさまざまなプロジェクトに積極的に取り組んでいきます。皆さんのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。また、本趣旨に共感いただける会員も募集しています。